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第3回キュービクル工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社キュービクルパートナーズ、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~耐久性~

ということで、キュービクルの耐久性に影響を与える要因、適切なメンテナンスの方法、長寿命化のためのポイント について詳しく解説します♪

 

キュービクル(高圧受電設備)は、工場・ビル・商業施設などの電力を安定供給するために不可欠な設備です。しかし、屋外設置が多く、長期間にわたり厳しい環境にさらされるため、耐久性の確保が重要 になります。キュービクルの寿命を延ばすためには、適切な設計・施工だけでなく、定期的なメンテナンスや交換が欠かせません。


1. キュービクルの耐久性とは?

キュービクルの一般的な耐用年数は 約20~30年 ですが、使用環境やメンテナンス状況によっては、10~15年程度で交換が必要になる場合もあります。耐久性に影響を与える主な要因は以下の通りです。

① 設置環境(気象・立地条件)

  • 屋外設置の場合:雨風・直射日光・温度変化・湿気・塩害・雪などの影響を受けやすい
  • 海岸近く・工業地帯:塩害や腐食性ガスによる金属部品の劣化が早まる
  • 高温多湿な環境:内部の結露が発生し、絶縁劣化やサビの原因になる

② 材質と構造

  • 外装の材質(鋼板・ステンレス):耐候性の高いステンレス製は耐久性が高い
  • 塗装の質:防錆塗装の施工状況が悪いと、サビによる腐食が進行しやすい
  • 防水・防塵性能(IP等級):適切な等級が確保されていないと、内部機器の劣化が早まる

③ 内部機器の寿命

キュービクル内には、遮断器(CB)、変圧器(T)、計器用変成器(CT・VT)、避雷器(LA)、開閉器(DS) などの電気機器が収納されています。

  • 遮断器(CB):約15~20年
  • 変圧器(T):約20~30年(油入変圧器は30年以上使用可能な場合も)
  • 避雷器(LA):約10~15年(雷の影響を受けやすい)
  • コンデンサ:約10~15年(劣化すると力率低下を引き起こす)

④ メンテナンスの頻度

  • 定期点検を実施していない場合、異常の発見が遅れ、故障や火災のリスクが高まる
  • 絶縁劣化・接触不良・サビなどを早期に発見し、適切な処置を施すことで、機器の寿命を延ばせる

2. キュービクルの耐久性を高めるためのメンテナンス

キュービクルの耐久性を維持し、長寿命化を図るためには、定期的な点検・保守が欠かせません

① 毎月実施すべき点検項目(自主点検)

外観チェック

  • キュービクルの外装にサビや塗装剥がれがないか
  • ドアや通気口にゴミやホコリが詰まっていないか

表示・警報の確認

  • 計器盤のメーター(電圧・電流)の異常値がないか
  • 避雷器のインジケーターが作動していないか

異音・異臭の確認

  • 遮断器や変圧器から「ジー」という異常音がしないか
  • 焦げ臭いニオイがしないか(絶縁劣化のサイン)

② 半年~1年ごとの精密点検(法定点検)

点検の種類:年次点検(停電点検)/月次点検(運転中点検)

  • 変圧器の絶縁抵抗測定(劣化によるリーク電流の確認)
  • 遮断器(CB)の動作試験(トリップ時間や接触抵抗を測定)
  • 避雷器(LA)の劣化診断(雷サージによる損傷チェック)
  • 接地抵抗測定(アースの状態確認)

実施者:電気主任技術者・専門業者


③ 5~10年ごとの大規模メンテナンス

主要部品の交換

  • 遮断器・避雷器・コンデンサの交換(劣化部品の更新)
  • 錆や腐食が進んだ外装の再塗装・補修

キュービクルの更新時期の検討

  • 設置後 20年以上経過 したキュービクルは更新を検討
  • 内部機器の大規模更新 or キュービクル全体の交換を計画

3. キュービクルの耐久性を延ばすためのポイント

① 屋外設置のキュービクルは防錆対策を徹底

  • ステンレス製のキュービクルを採用(耐食性が高い)
  • 防錆塗装の再施工(5~10年ごとに塗り替え)
  • 塩害地域では防塵・防水性能の高いモデルを選ぶ(IP54以上推奨)

② 通気・湿気対策を行い、結露を防ぐ

  • 換気扇・除湿装置を設置(特に高湿度地域では必須)
  • ドアパッキンの劣化を防ぎ、密閉性を維持

③ 部品の定期交換を計画的に実施

  • 避雷器は10~15年で交換(落雷による性能低下を防ぐ)
  • コンデンサも10~15年で更新(劣化による絶縁不良を防止)

④ 高品質な部品を採用し、耐久性を向上

  • 低損失変圧器を採用(発熱を抑え、寿命を延ばす)
  • 耐候性の高い塗装材を使用し、外装の劣化を防ぐ

4. まとめ:キュービクルの耐久性を最大限に引き出すには?

適切なメンテナンスを行えば、キュービクルの寿命は30年以上延ばせる
使用環境(湿気・塩害・気温)に応じた防錆・防水対策が必要
定期点検と計画的な部品交換を実施し、故障リスクを最小限に抑える

キュービクルの耐久性を保ち、長く安全に使用するために、日常点検と専門業者による定期保守を徹底しましょう!

 

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